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2015-05-09

なぜデータヘルス推進なのか(健康保険制度について)

データヘルス事業を成長ドライバーとする企業の分析依頼を頂きましたが、なぜ国はこの聞き慣れない施策を推進するのでしょうか。その背景には健康保険制度の危機的状況があります。医療関係の方のような詳しい話はできませんが、私の知っていることを書き連ねます。

■健保財政は急速に悪化している
皆さんが入られている健康保険組合は、ここ数年でほぼ間違いなく料率改定(値上げ)されていると思います。
例えば一番大きい健保である協会けんぽの料率は以下のとおりです。

~21年度 8.20
22年度 9.34
23年度 9.50
24年度 10.0

たった3年で2割以上保険料が上がりました。料率10.0というのは、給与が30万円だったすると1.5万円(企業も1.5万円負担)を意味し、軽い負担額ではありません。一体何が起きているのでしょうか。

■理由は高齢化。20才と75才が使う医療費はどれぐらい違う?

最大の理由を一言でいうと「高齢化」ということになるのですが、健康保険は「年齢で医療費(使うお金)が大きく異なる」という大きな特徴があり、これが大きく影響を与えています。
ここで皆さんに質問なのですが、
①20~24才、②75~79才の2つの年齢層で、一人あたり1年間でどのぐらい医療費を使うと思いますか?

 

 

 

答えは
①7.1万円
②77.1万円
です。2つの世代でなんと10倍以上も違うのです。世代ごとのグラフは以下のとおりです。

Photo

資料ソース

2つの世代で10倍差があるということは、①の世代だけ/②の世代だけの健康保険制度が仮にあったとしたら、保険料が10倍違うことを意味します。
このグラフをみれば、国民の平均年齢が1才上昇すれば10%ぐらいは医療費(健康保険料)増になるだろうことが容易に想像できます。現在の健保料率改定はこのような流れの中で起きている現象なのです。

■実は打つ手なし。苦肉の策がデータヘルス
こういった現状に対し、国は今のところ大した手は打っておらず、「健保の話は、料率アップなど健保内で対応してね」というのが基本スタンスです。そして役人の権限でできる改善施策として生まれたのが「データヘルス」です。データヘルスとは、要するにレセプトを分析できるようにし、重篤になる前に改善を促すことで医療費削減を図ろう、という施策です。もちろん焼け石に水で、根本的な解決にはつながりません。

健保の問題は、今のところ世間で話題にあがっていませんが、相次ぐ料率改定がトリガーとなり、ここ数年で大きな話題になっていくのではないかと思っています。国政レベルでないとどうにもならない問題ではありますが、基礎知識として覚えておくと選挙等にも役立つのではないでしょうか。

■株式投資として
最後に投資家としては以下の2つあたりがポイントになるかと思います。

①医療業界は右肩上がりの有望市場
②一方で「今までの不合理な仕組み」には見直し圧力が強くかかる

不合理な仕組みが壊れる瞬間や、そこでどんな肉食系企業が登場するか。この辺りがわかると面白い投資ができそうです。

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