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2015-03-24

ROEは分析の役に立たない

このブログではROEについてほとんど触れたことがありません。
ROEは株主資本の効率を直接的に図る指標(利益/資本)であり、株主にとって重要な指標にも見えますが、私は分析には使えない指標だと思っています。

ROEが高いから良いとは限らない
第1に、ROEはそもそも高低どちらが良いのかよくわからない指標です。一般にはROEが高いほうが良いとされますが、過小資本でつぶれやすい企業なのかもしれません。また、ROEが低いほうが自社株買いなど資本政策によるROE向上余地が大きいという可能性もあります。

利益と資本はほとんど関係ない
第2に、資本と利益の関係を考えることに対してナンセンスを感じます。
ROEという指標の根底には「利益を生むためには資本が必要」という考え方があり、「資本があればあるほど利益が増える」と思われています。しかし実際には上場企業で資本が足らない例はほとんど見たことがありません。今まで様々な企業を分析してきましたが、好調の企業で銀行から借入金が限度額いっぱいになっている企業はほとんどありません。(FPGぐらいですね)
利益が生まれるステップは

①ニーズがある
②ニーズを満たす商品供給力がある
③競争の中で価格が決まる
④企業に利益が生まれる

となりますが、②はたいてい供給(資本)過剰です。大切なのは①と③であり、ここが私の投資軸「成長、ビジネスモデル」と一致しますし、①と③を分析するならPL・営業利益率を見たほうが適切です。

資本政策は個人投資家がコントロールできない
ROE向上のための利益増以外の方法は、自社株買いなどによって資本を減らすことです。しかしこのような資本政策は個人投資家ではほとんど関与することができません。資本政策はいくら考えてもバクチの域を出ません。

結局ROEの高低から分かるのは、継続的に儲かっているかどうか程度のことであり、それを知るには財務3表の方がはるかに優秀です。私はROEは株主が経営者に圧力を掛けるぐらいにしか使えない指標だと思っています。

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投資一般」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
ROE、スクリーニングの一指標として重宝してます。

ROE=当期利益/自己資本
=売上高当期利益率*総資産回転率*財務レバレッジ

財務レバレッジに頼らず高ROEを継続できる企業・・・
理想的です。継続できるか否かの判断に分析力が問われるんですが。

投機屋の域をでない自分はその辺りの判断はまったくもって勘です。

なろさん、ありがとうございます。

確かにスクリーニングという点では営業利益率より優れている面もあると思います。
「総資産回転率」も「資本と利益」系の指標ですよね。この指標についてもいくら考えてもピンと来ません。

確かにROEと投資リターンの関係は諸説あり、ROE重視の投資を行っている私にとっても永遠の課題です。特に、量的緩和が幅を利かせる現在、資本は事実上、無尽蔵にあるのに資本効率を重視するというのは意味があるのか、という指摘は、投資だけでなく企業の実務においてもまじめに考えてみる必要がある問題だと考えています。

私のブログではROEやPBR、成長性と投資リターンはどのような関係があるのかを自分なりに考察していますので、よろしければご意見いただけますと幸いです。

プレノンさん、ありがとうございます。

とても詳しい分析で興味深く読ませていただきました。
全体を通して感じたのは私とのアプローチの違いです。
・プレノンさん:現在の業績の分析から未来を予測するアプローチ
・私:ニーズとビジネスモデル(利益構造)を明らかにして、中期の見通しを予測する
どちらのアプローチからでも同じような未来を予測できるように感じました。「象と盲人の寓話」のような関係かもしれませんね。
http://ja.m.wikipedia.org/wiki/群盲象を評す

資本は無尽蔵の件については、量的緩和というよりも高度成長期後はずっとこの状態だと思っています。
・生産という考え方による無限の商品供給
・ITによる情報の無限のコピー
テクノロジーは様々なものをほぼ無限に供給できるようにしていますし、お金も儲かる話であればいくらでも集まってくる時代になっているように思います。

はじめまして よろしくお願いします。
おっしゃられた通り日本の企業は今までROEに対して無頓着でしたが最近は経営者の方から「意識的に改善する」というような意見が聞かれることも多くなったので業績はもちろんのこと経営施策に対してROEや資本効率なども考える企業の方が有効だと思われます。
過去そういった例としてはソフトバンクが大きな企業の例ですかね。(借りいれも含めて)

外国の機関投資家はそういったことに無頓着な企業の株は買ってくれないと思います。(バフェット含め)
ただ現状すぽさんがおっしゃっていうことが大方あたっているのも事実ですね。

ober04さん、コメントありがとうございます。

おっしゃる通り、ソフトバンクは「お金が足りない」珍しい企業だったと思います。アリババ上場でだいぶキャッシュ面も安定してきましたが。

私の記事の表現で言うと、孫さんの野心が大きすぎるため、
①野心(世の中のニーズ)は無限大
②お金はあればあるほど大きな事を成せる
という関係になっているということでしょうね。尊敬します。

ROEを考えない経営者は、海外からは(やや独善的に)無能呼ばわりされるとは思いますが、毎年20%以上成長し続けているなら誰も文句は言わないはずです。もちろんその株も買うでしょう。
ROEとはそんな指標だと思っています。

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