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2014-06-30

7148FPG(4.0)

コメントで分析したまま、エントリにできていませんでしたので改めて整理します。
7148FPGは「タックス・リース・アレンジメント」という、節税(繰り延べ)スキーム生成事業を中心とする、会計プロフェッショナル企業です。この事業は技術力やコネクション作りが参入障壁となりほとんど独占状態です。また先日増資をしたことに反応して株価が少し下落しています。いつも通り分析します。

Step1.業績の確認

GMOクリック証券の分析を使います。Valuation Matirixが使いづらいのでこちらを使っています。

Bs

Pl

Cf

  • 売上・営業利益ともに30〜50%程度の成長
  • 営業利益率は50%近く。現金も順調にたまっている。
  • BS、CFから「異常に大きい借入と資産」が生まれている

→成長性・収益性が抜群。最後の点が気になりながら次のステップへ

Step2.ビジネスモデルの確認

「タックス・リース・アレンジメント」というのは、節税(繰り延べ)効果を利用したリース型の投資商品(生成スキーム)のことです。リースをする企業、銀行、投資家を巻き込む複雑な商品で、会計プロフェッショナル性、営業コネクション作りなど高い参入障壁があります。
商品の詳しい解説はこちら http://www.fpg.jp/ir/business.html

生成商品を投資家に売却するので、「価格変動が小さく数年後も残存価値が高い商品であること」が必要です。また、手間がかかる上に手数料商売なので「高価な商品である」ことが必要です。このためコンテナ・船舶・飛行機など限られた商品が対象となっています。
IR資料からは、ニーズが旺盛なのに関わらず、「スキーム組成の資金調達」と「人材」という企業側のボトルネックで仕事をお断りしているような、滅多に見かけない他社がうらやむ状況になっていることが見て取れます。今後の成長余地は計りづらいですが、飛行機市場の規模に対して、まだまだ小さい事業ですのであまり心配はなさそうです。一点、一つ一つの案件が大きいため、成長は間違いない中でも多少ブレは発生するのが注意点です。
BS、CFでの特殊な数値は商品生成後に投資家に売却するまでの預かりによるものでした。

Step3.株価の確認

(2014年5月27日)893円、来期PER15.9 PBR6.5 ※増資前の株価/純資産の部で計算
これに株数2割増、純資産の部2倍となる増資が実行されたので
来期PER 19.1 PBR3.2
と計算しなおすことができます。このPERは増資前の会社の業績予想をベースにしていますので、今後の上方修正が行われる可能性が高い状況です。この増資は珍しい「よい増資」であると考えています。

という訳で、「成長、ビジネスモデル、割安」がそろったA→S戦略と言えます。4.0です

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コメント

すぽさん、FPGのエントリー大変参考になります。さて、今政治の場で議論されている法人税減税は実現すればFPGにとって大きな追い風になりそうですが、一方で同時に減価償却制度の見直しも俎上に載せられているという報道もあり(4月8日日経記事等)、もし定率償却が廃止されるようなことがあるとFPGにとっては大打撃になる可能性もあります。私はこのリスクが気になり、FPGの買い増しはいったん見送り、むしろポジションをやや減らして様子をうかがっているところです。このリスクについてすぽさんはどのように考えておられますか。

リースってそもそも税金の繰延のためによく利用されてますよね?
リース会社がやってることと以外に、FPGはどんな特別なスキームを使う必要があるのか
ぜんぜん理解できないです。金融関係は難しいですね。

くっぴーさん

情報ありがとうございます。定率法廃止の動き、完全に見過ごしていました。好事魔多しという感じですね。
タックスリースアレンジメントは、定率法だからできるスキームですので法が変われば設計できません。残念ながらFPGの浮沈を政治に委ねられている状況だということです。
昨日FPGの買い増しを行ったのですが再考する必要がありそうです。

もともと税制のスキを利用した商品ですので、法改正で無力化するのは当たり前のことかもしれません。改めて「企業が生み出している商品価値」を考える重要性を学びました。

>JOKERさん
この商品の主役は、リースする側ではなく、投資家側です。投資家はこの商品を買うだけで損金計上ができます。

昨日のテレビ(日経プラス10)で、谷村社長が出ておられましたが、キャスターから定率償却の廃止の可能性について質問されていましたね。それに対して、谷村社長は、「投資の促進という観点からは、むしろもっとインセンティブを与えるべきであって、定率償却や投資の税額控除などを拡大すべきではないか」、というようなことをおっしゃってました。私も、法人税減税の代替財源という意味では定率償却は税金繰延手法でしかなくこれを廃止しても直接的な代替財源にはならないので、法人税減税と合わせて議論されるのは妙な話かなとは思っています。ただ、俎上に載せられている以上はやはりリスクはあります。一方で、法人税減税は繰延ニーズの爆発的増大につながるので、定率償却が廃止されなければFPGの今期と来期の売上・利益は予想を大きく上回ってくる可能性もあります。なので、私は投資額は減らしましたがまだ少し持っている状況です(今日上がったので実はまた少し減らしましたが。今日上がっているのはTV出演効果かもしれませんね)。

一方、日本管理センターはさらに買い増しました。1200円程度でウロウロしていますが、相当割安かなと思っています。日曜の日経一面トップ記事が、「賃貸住宅 建設が急増」でしたが、日本管理センターにとって極めてポジティブな話だと思います。サ高住の話も含まれてましたし。しかし、株価はまだ記事に反応してないようですが・・・。すぽさんもぜひ。

昨日、FPGの会社説明会に参加しました。
その中で参加者から「定率法」から「定額法」への
切り替えリスクについての質問がありました。
IR担当者は「今のところそのリスクは小さいと考えている」と答えてました。
「法人税減税」による需要増に対しては極めて強気でした。
ただし、その場合法人税減税後は反動減があると思いますが。

私もくっぴーさん同様、日本管理センターを買い増しました。
ここ数年間、四半期ベースで連続して売上高を伸ばし、
利益も前年同期を20%以上上回っている実績、
管理戸数というKPIを月次で追える安心感、
既存の供給サイドの都合ばかり優先される賃貸市場に
風穴を開けるという理念、
サブリース会社とオーナーと賃借人の間にWIN-WINの関係を
築くという真っ当なビジネス(でも今まではなかった!)
であることを私は買っています。
何故この企業がPER13倍で売られ、
ヤフー掲示板で程度の低い投資家のおもちゃになっているのかが
私には理解出来ません。

くっぴーさん、まりもさん、ありがとうございます。

「法人税減税」は大きな駆け込み需要を生みますよね。この商品を買い、利益を次年度以降に繰り延べるだけで課税額が減るのですから。一方、定率法の廃止の可能性はやっぱりなんとも言えません。役人は景気対策をしたいのではなく、政治家の言われたことをやる(言わないことは何をやってもいい)行動原理ですので。

参考:住民税が上がったと大騒ぎする人達
http://sprn.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-e352.html

FPGの買い増しを軸に考えていたのですが予定が変わってしまいました。日本管理センターも含めて、PFの設計を再検討します。

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