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2014-01-14

Appleの価格コントロール力

私はビジネスモデルにこだわった投資をしていますが、その背景には「ちょっとした価格決定権(≒ビジネスモデル)が企業の生死を分ける」という思いがあるからです。
参考:
なぜビジネスモデルを重視するのか①
なぜビジネスモデルを重視するのか②

どんな値付けができるのか、どう価格を維持するのか。Appleの価格コントロール力は、他社のお手本になる興味深いものです。

価格コントロール①:販売チャネル

普通の企業は自社製品を販売してくれる「販売チャネル」を非常に重要視します。企業活動とは、何よりもまず「売上」があり、ここから様々なコストを支払っていくというものですから当たり前です。
このため一般的に、販売チャネルには3割ぐらいのマージンを渡すのですが、Appleの場合はマージンが1割程度の上に、定価販売を守る店以外には卸しません。
(ちなみにiPhoneは、割引分を通信キャリアが全て負担しているため、キャリアの補助金の出し方によって多少変動しています)
こんな大胆な(傲慢な?)事ができるのは、全て商品力にあります。「近くの電気屋に売ってなくても欲しい」と思えるほどの強い商品力をテコにして、他の家電メーカーが頭を下げ、営業応援までさせられている、ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、ビックカメラといった大手家電量販店に頭を下げさせているのです。
そして、この価格コントロールによって、消費者がApple商品を買った時に支払う50,000円に対し、普通の企業なら35,000円しか手に入らないところを、45,000円も手に入れているのです。
この差は全て企業の利益になり、営業利益率を2割以上引き上げる要因となります。ただAppleの場合は、全て利益にしているというよりは、価格を下げて価格競争力に使ったり、高い部品に充てたりしていますので、現実は10%~15%程度の引き上げ効果いったところでしょう。

価格コントロール②:メモリ
もう一つの価格コントロールというとラインナップ(メモリ)があります。例えば、私が先日購入した「iPad mini retinaセルラーモデル」のラインナップは以下のとおりです。

  • 16GB 55,440円
  • 32GB 65,520円
  • 64GB 75,600円
  • 128GB 85,680円

メモリがちょっと上がると1万円上がり、16GBと128GBでは3万円の差があります。メモリの市場価格は128GBでも1万円程度ですので、アップルは128GBモデルを売ると、16GBモデルよりも粗利が2万円以上多くなります。
16GBモデルを買うお客さんと、128GBモデルを買うお客さんとでは買う意識が違うことを踏まえて、エントリーモデルはNexus7やKindleFireに対抗しつつ、上位モデルで利益を大きく稼ぐという方法を取っています。
ユーザー視点では、メモリが刺さるスロットをつけてくれればいいのですが、これも強い商品力を背景に「スロット無しでも、高くても、他機種より欲しいでしょ?」という価格設定をしています。これも当然利益率向上に大きく寄与します。

②は単純に商品力をいかに価格に転嫁するかという割と一般的な手法ですが、①については「そもそも販売チャネルは、世の中に必要な存在なのか?」という、ネット販売形態が当たり前になっていく時代の中で、チャネルの意味を問うような戦略です。

というわけで、ジョブズさんが亡き今、画期的な商品は作れないのではと色々言われるAppleですが、現状でも末恐ろしい企業です。
(ちなみに前期売上は1,700億ドル≒17兆円もあります)

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コメント

2124JACリクルートメントを新たに購入みたんですが、ここはどう思われますか?

2124JAC
私も気になり監視銘柄に入れています。
人材紹介という業種で群雄割拠の市場だと思いますが、高収入分野に絞った人材紹介や海外とのパイプを使った海外向けの企業に強い印象があり、他の人材紹介との違いをしっかりもっていると思ったのですが、すぽさんの見解を聞いてみたいです。

アキバ観光池袋支部さん、THさん、ありがとうございます。

2124JACリクルートメントの企業分析を行いました。現在の業績・財務面は非の打ち所がありませんが「景気の増幅」による成長であり、ビジネスを広げている訳ではありません。3.5です。

JACは外資系・大企業社員など、やや上位を相手にした転職支援企業です。この市場のビジネスモデルはプラットフォーム型であり、大きい方が勝つのが大原則ですが、人を介す必要があるため多少独自の市場を作れる余地があります。JACはそんな中で、No.1とは言えないながらも自分の市場を作れています。
ここ数年の業績は素晴らしく、B/S、CFも文句ありません。テンバガーを超え、過去のホルダーは大満足でしょう。

ただ、過去の業績を見てわかるとおり、売上は完全に景気連動で、営業利益はそれを増幅したものになっています。次年度以降の業績も全て景気次第です。
株価は来期PER25ぐらいで、割高というわけではありませんので、今後の景気に自信がある方なら、短中期的には悪くない株です。ただし、景気悪化耐性は極めて弱い企業ですので、覚悟が必要です。

さっそくのお返事ありがとうございます。勉強になります。

景気連動型による業績拡大ですか。

確かに景気によるところは大きいですね。

勉強になります。ありがとうございました。

補足です。
この企業のコストは人件費がほとんどですから、一人当たりの売り上げが企業の業績と連動します。
以下、一人当たり月間売上と、営業利益率です。

2009 80万円 -13.4%
2010 138万円 +12.3%
2011 155万円 +15.8%
2012 165万円 +22.4%

なぜ一人当たりの売り上げがこんなに変化するのか。
社員の質が上がったのか、環境が良くなったのか。理由をよく考えてみると、何が起きているか見えてくるのではないでしょうか。

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