ビジネスモデル:マイクロソフトのWindowsやOfficeの利益率
突然ですが、皆さんはマイクロソフト社のWindowsやOfficeの営業利益率がどれぐらいかご存知でしょうか。10%?30%?どれぐらいだと思いますか?
マイクロソフト 2012年度決算 | millions $ | ||
売上 | 営業利益 | 営業利益率 | |
Windows Division | 18,400 | 11,555 | 62.8% |
Server and Tools | 18,534 | 7,235 | 39.0% |
Online Services Division | 2,867 | -8,125 | -283.4% |
Microsoft Business Division | 24,111 | 15,832 | 65.7% |
Entertainment and Devices Division | 9,599 | 380 | 4.0% |
Unallocated and other | 212 | -5,114 | -2412.3% |
73,723 | 21,763 | 29.5% |
全体では29.5%ですが、WindowsとOfficeのセグメントは60%を超えています。
これは仮に、WindowsやOfficeの平均単価が15,000円だとしたら、開発費や広告宣伝費等、全てのコストをひっくるめて、1本あたり5,000円しかかかっておらず、残りの10,000円が利益ということです。
(このデータは2012年のものですが、マイクロソフト絶頂期の2002年頃は8割を超える営業利益率だったこともあるようです。)
参考:2002年の記事 「本当に許されるのか,WindowsとOfficeの驚異的な利益率」
営業利益率60%以上。これは机上の空論ではなく現実の話です。一般に、営業利益率が10%を超えたら優良企業と呼ばれますので、この商品であれば、5,555円で売れれば優良企業なのです。しかし、マイクロソフトは、そこからグググッと価格を引き上げて15,000円で販売しているわけです。
なぜこんなことができるのか
なぜこんなことができるのでしょうか。それはWindowsやOfficeが独占的な地位を占めているからです。独占だから、マイクロソフトが望む価格にできるのです。仮に競合がいれば、競合が似た製品を10,000円で売り始める、じゃあ9,000円で売ろう・・・となってしまい、気づくと5,500円ぐらいで売ることになるでしょう。そうなっていないということは、マイクロソフトには価格を引き下げる競合がいないのです。
では、なぜ価格を引き下げる競合がいないのでしょうか。それは、WindowsやOfficeという商品の性質が、データの互換性が強く求めるため、1種類に収斂する性質を持っているからです。これが「プラットフォーム型」です。
参考:06.ビジネスモデル②:プラットフォーム型
先ほど「価格を引き下げる競合がいない」と言いましたが、もちろん似たような商品(オフィスソフトなど)は、他社でも販売しています。例えば、OpenOfficeは無料です。
- OpenOffice 0円
- MS Office 15,000円
しかし、驚くことに多くのお客さんがこの2つの商品を比較し、MS Officeが欲しいと思うのです。プラットフォームの力とは、それほど強力なものなのです。
マイクロソフトは、ビジネスモデルの凄さを学べる絶好の例ですが、世の中にはこのような強力なビジネスモデルを持っている会社が、“たまに”あります。
そういう企業は、社長が2流でも、社員のやる気がイマイチでも、ビジネスモデルを持たない企業に比べてはるかに好業績を収めることができます。
という訳で、私は「成長、ビジネスモデル、割安」。この3点に絞って企業分析及び投資を行っています。
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