お金について
現在の世の中で使われている「お金」。考えれば考えるほど不思議で興味深いものです。
お金は世の中に入り込み価値を奪い取る
現在世の中に流通しているお金、これは単なる紙切れです。昔は兌換紙幣だったので金と交換できましたが、今は誰もお金を受け取らなくなれば、明日にでも紙切れに変わる不思議なものです。
また、もし私がお金を発行できたとしたらどうなるでしょう。これは無限のお金を手に入れたのと同じ事であり、まさに錬金術です。ということは、今も誰かがこの錬金術を操っているということです。お金が世の中に与えている影響について、原理から振り返って考えてみます。
図にしてみました。世の中はもともと物々交換です。Aさんは魚(100の価値)、Bさんは肉(100の価値)、Cさんは米(100の価値)を持っていたとすると、世の中には300の価値があり、それぞれを交換することができます。
そんな世の中にお金が登場します。物と物を直接交換するのは価値をはかったり交換相手を探す必要があり非常に大変ですので、お金は確かに便利な存在です。そんなニーズに応えてお金が世の中に入り込んでいくわけですが、ここで気になるのはお金を作った人は何の価値も生み出していないということです。
お金を発行したことにより3個しかなかった世の中の商品は6個になり、世の中の価値の半分はお金になりました。お金を作ったDさんは何の苦労もせず世の中の半分の価値を得ることが出来ました。
もしお金を使わずにDさんが世の中の半分の価値を手に入れようと思ったら、AさんBさんCさんから50ずつブン取るしかありませんが、そんなことをすれば当然犯罪で捕まります。ブン取ろうとすると逮捕ですが、お金を使うと誰も文句を言わない。こんな不思議なことが現在の世の中では起きています。
この事実に気づくと色んな事が見えてきます。
増税とインフレ(お金の発行)は同じ事
お金をつくることができるのは日本では日本銀行だけです。(一般の銀行も貸出という行為を通じて預金を創造していますが、話が複雑化するので今回は忘れてください)
現在日本銀行と国家は現在別の組織ということになっており、国債の直接の借入を禁止するなど、別組織の体を維持していますが、いざとなれば発行権を国家に移すこともできますので、実質的には国家にお金の発行権があるのと同じです。
要するに日本にとってのDさんとは、国家のことなのです。
ということは、国家が、日本国民から価値を奪うことのは割と簡単なのです。今は消費税を上げるなどと「ブン取る」方策を一生懸命議論をしていますが、本当はお金を発行して国のお金として勝手に使ってしまえばいいのです。
国がお金を大量に発行すれば当然お金の価値が下がりインフレになりますが、それはまさに国家が世の中から価値を奪ったことを表す現象です。こうして世の中のお金の価値は減価し、国は日本国民から価値を奪うことができます。
つまり、増税とインフレ(お金の発行)は同じ事なのです。
インフレ=景気がいい??
一部の経済学者の中には「インフレ=景気」と勘違いして、お金を刷れば景気が良くなると主張している人がいます。でも、いくらお金を刷っても世の中の価値は全く変わりません。「お金=価値」だと思っている人にとっては、お金を刷れば景気が良くなるように思えるかもしれませんが、そもそも「お金=無価値」なのですから、何かプラスになるわけがありません。
(強いて言えば「インフレ」になると、借金の負担が相対的に減るわけですから、借金を返せない人が減るといった好影響はあるでしょう。)
今の日本の不景気の原因も「お金」ではなく「価値、需要」に焦点を当てて考えるべきです。高度経済成長の時代は今年より来年のほうが便利な(価値の高い)商品が生まれ、需要も旺盛でしたが、今は便利なものもあまり生まれず、需要も減少傾向です。ここに特効薬はありませんから、日本経済全体としては今後も明るくはないでしょう。お金の発行量なんか関係ありません。
というわけで、何にしても、国家が「お金」という不思議なものを発行できる権利を持っており、その行方を注視していくことが重要だということだけは間違いありません。
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